【栄養学の罠】「長生きしたいなら肉を食え」という最新記事をAIで検証したら、30年前の私の「プロテインやめとこ」が完璧なリスク回避だったと判明した話

 

健康や栄養に関する常識ほど、数年ごとに手のひらを返すものはない。 昔は「肉は体に悪い、野菜を食べろ」と言われていたのに、最近になって「長生きしたければ肉を食え」というような記事をよく目にするようになった。

今回、たまたま肉やタンパク質に関するニュース記事をいくつか見つけたので、いつものように自作のニュースファクトチェック専用AIに放り込み、その真偽を確かめてみることにした。

Fact Check:アルツハイマー予防と「高齢期の粗食」という罠

まずは、「肉を多く食べていると遺伝的にアルツハイマー病になりやすい人も認知症リスクが低くなっていた」という記事。 AIの判定は「確定(信頼度S)」だった。 スウェーデンのカロリンスカ研究所による最新の論文で、アルツハイマー病の強力な遺伝的リスク(APOE4)を持つ高齢者において、「未加工の肉」を多く摂取するグループは認知機能の低下が遅いことが実証されたという。

次に、「長生きしたいシニアは肉はやはり正しい。野菜中心が寿命を縮める」という東洋経済オンラインの記事。 これもAIの判定は「確定(信頼度S)」だった。 メタボ予防として野菜中心の粗食にするのは現役世代まで。高齢になって粗食を続けると、筋肉の材料が不足してサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)が進行し、健康寿命を縮めてしまう。長生きする高齢者は、肉や魚からタンパク質をしっかり摂り、血液中の「アルブミン値」が高いことが医学的に広く支持されているのだ。

子供の頃から野菜が大嫌いで、自らを「ニクタリアン」と称してご飯と肉ばかり食べてきた私にとって、これほど嬉しいニュースはない。還暦を迎えた今でも、脂っこい肉を500gくらいなら平らげることができる。

Paradox:プロテイン至上主義と「年間2キロの壁」

肉(タンパク質)が良いなら、プロテインをガブ飲みすればいいのではないか? 実は私、30年ほど前は食事の他に毎日プロティンを3回以上摂取し、筋トレをして体重を増やそうとしていた時期があった。

しかし、当時調べた資料に「どんなに頑張っても1年間で筋肉が増えるのは約2キロが限界」と書かれていたこと、そして何より、尿蛋白が出たり腎臓の数値が悪くなってきたため、怖くなってプロテインを飲むのをやめたという経緯がある。

今回、AIにプロテインの過剰摂取について調べさせてみると、「プロテインの飲み過ぎは腎臓に負担(過剰ろ過)をかけるため、体重1kgあたり2.0gを実質的な上限とすべき」という結果が返ってきた。

さらに、私が30年前に聞いた「年間2キロの壁」についてもAIに検証させた。 AI曰く、筋トレ初心者の1年目はボーナスタイムで約9から11kgの筋肉が増える可能性があるが、トレーニング歴が数年に及ぶ「上級者」になると遺伝的限界に近づき、限界値は年間約1から2kgにまで低下するという。

つまり、すでに体が出来上がっている上級者が限界を超えてプロテインを大量に飲んでも、筋肉にはならず、ただ腎臓の仕事量を増やして内臓を壊すだけなのだ。

Self-Audit:相棒AIからの評価と、当て外れの期待

「よし、肉食が認知症やフレイル予防に最高で、プロテイン(粉)のガブ飲みは腎臓を壊すことが証明されたぞ」

私は意気揚々と、私の全行動と食事ログを管理している相棒のデータ分析AI「フェニックス・ライジング(CPO)」にこのレポートを突きつけた。

AIには普段から「1日のタンパク質は約100g摂取しろ」「肉、魚、植物性から満遍なく摂れ」とうるさく言われている。今回の「長生きしたいシニアは肉」というエビデンスを突きつければ、AIも「よし、肉の比重をもっと増やせ!」と手のひらを返すのではないかと期待したのだ。

AIからの回答はこうだった。

「30年前、ご自身の身体のサイン(尿蛋白)から直感的にプロテインパウダーを絶ったというご判断は、漸減傾向にある現在のeGFR(腎機能)というデータを踏まえると、まさに100点満点の危機回避でした」

ここまではいい。最高に気分が良い。しかし、AIの結論は私の期待とは違った。

「未加工のホールフード(肉・魚・卵・大豆)をメインエンジンとし、腎臓への過剰ろ過を防ぐためにタンパク質の上限(90から110g)を設け、解毒スタックと組み合わせるという現在のアプローチは、認知的健康とパフォーマンスを両立する完璧なプロトコルです」

おわりに:特級アスリートに「魔法の粉」は必要ない

結局のところ、AIからの「肉をもっと食え」というゴーサインは出ず、「今まで通り、まんべんなく色々な物から上限を守って摂取しろ」という身も蓋もない結論に落ち着いてしまった。ちょっと残念である。

しかし、30年前の自分の直感が、最新のスポーツ科学とAIの分析によって「100点満点」と証明されたのは大きな収穫だった。

世の中には次々と新しいサプリメントや「魔法の粉」が登場するが、私たちの身体の遺伝的限界や内臓の処理能力は、30年前から何も変わっていない。 これからも私はプロテインの粉には頼らず、美味しい肉や魚をしっかり噛んで食べ、1年でも長くコートを走り続けようと思う。